作成日:2021/5/15
メーカ:J&A Mitchell(Springbank distillery)
地域:イギリス、スコットランド、キャンベルタウン
ステータス:販売中
容量:700ml
価格:7000円くらい(2020年12月購入)
タイプ:シングルモルト
年数:10年
度数:46度
点数:84点
テイスティング的なコメント:香りはモルティ&ソルティ。若干のおがくず?アルコール由来の甘味。以前の10年よりもアルコールを強く感じる気がする。全体の印象は10年前からぶれていない印象。口にすると、モルトの甘さの後から広がるソルティ、キャラメル、オイリー、パイナップルの果肉(外側の少し硬いところ)、少量の加水で塩、オイル、苦み(青菜系?エンジンオイル?)。さらに加水で苦みは消え、甘くなる。リンゴ、エステル。
飲んだ場所:バー、自宅など
オールドの12年のレビューに遅れること2年、現行の10年のレビューになります。上にも書いた通り、2020年年末に購入したものなので、比較的新しいロットのはずです。モルトの香水と呼ばれることも多いスプリングバンクはフロアモルティングや、2.5回蒸留など、特徴的な工程でもよく知られています。と、書いていてふと思ったのですが、「モルトの香水」って誰が言い出したんでしょうかね?
「Whiskey Bible」や「Malt Whisky Yearbook」には書いてありませんし、「シングルモルトウィスキー大全」(2009年刊行版)にも書かれていない。「スコッチウイスキー 迷宮への招待」にも書かれていない。「モルトウィスキー コンパニオン」にも書かれていないよう。漫画の「レモンハート」で書かれていたような記憶があるのですが、現物が手元にないのでわからない。うちにあった本では、比較的最近の「厳選ウイスキー&シングルモルト手帖」にはその記載があります。ただ、この本は2015年刊行なので、かなり最近のこと。改めて振りかえってみると謎ですね。
スプリングバンクはもともと人気のある蒸留所で、ボトラー物は値段が高かったのですが、いわゆる「オフィシャル」はスタンダード品(10年、12年カスク、15年)あたりは割と手軽に購入できたものですが、近年はめっきり値段も上がり、品薄になっている国内市場では10年が1万円を超えるような事態になっています。上記の値段は海外のショップのセール品を(他のウイスキーと)まとめて購入したものなので、そこそこ値段は抑えられていますが、それでも高いですね。筆者がウイスキーを飲み始めたときはせいぜい4000円くらい(写真は約半分の値段のハーフボトル)で、人にもかなり勧めやすいアイテムだったのですが、この値段だと、ほかにもっと飲めるのがあるよなぁ、と思ってしまいます。
ただ、ブレンドの品質はあまり変わっていない(それでもアルコールをきつく感じましたが)とも思います。品質の維持が値段に反映されるとこのような金額になる、ということなのかもしれません。
やっと味の話になりますが、スプリングバンクのテイスティングコメントには「ブリニー」というのがよく出てきます。単に塩っ辛いのではなく、海岸にいるときに感じる潮の香りというか、そういったニュアンスをこのように表現しているのだと、個人的には理解しております。スプリングバンクは全体的にこの傾向があり(ロングロウも含む)、ここがスプリングバンクの魅力になっているのだと思います。製造工程というよりは保管場所の影響のような気がしますが(グレンモーレンジやボウモアも保管場所とテイストの組み合わせを謳った製品をリリースしてますし)ノージングでもかなり分かりやすい部類に入るので、練習にはいいのかもしれません。
かつては10年の下にCVという製品もラインナップにあり、これも出来の良いものだったのですが、現状を見る限り、当面はこういうリリースはなさそうなのが残念なところです。
Memories of Whiskiesと言っておきながら、記憶の中からのレビューが減ってきていますが、これを書いていて、スプリングバンクの15年を思い出してきたので、次のキャンベルタウンモルトのレビューはスプリングバンク15年になると思います。