作成日:2021/6/6
想定される熟成年数(3~5年)からすると驚くほどに色が濃い。正直期待はしたが、サルファーだったらいやだなというのが第一印象。
メーカ:Wemyss(蒸留所元詰め)
地域:イギリス、スコットランド、ローランド、キングスバーンズ蒸留所
ステータス:(限定品のため明記せず)
容量:700ml
価格:10000円くらい
タイプ:シングルモルト、カスクストレングス
年数:N/A
度数:59.8度
点数:87点(加水で88点)
テイスティング的なコメント:香りはアルコールの刺激が強い。赤ワイン樽、タンニン。加水してアルコール弱めるとべっこう飴が出てくる。口にすると、メープルシロップ、ワイン、フルーツケーキ。後からにじみ出るワインの渋みが印象的。香りほどアルコールのアタックは感じず、飲みやすい。後味のドライさ(全体的な単調さ)に若さを感じるものの、バランスは悪くない。少量の加水で渋みが前面に出るが、さらに加水でフルーツケーキ、シナモン、ジンジャー。ワインはだいぶ弱くなる。焼きリンゴ、チェリー、オイリー。ロックにするとビターな印象が強くなる。ピンクジンのウイスキー版を飲んでいるよう。フルーツケーキのドライフルーツはオレンジ?甘みはハチミツ?余韻はくちどけは淡く、かすかなタンニンが下に残る。
飲んだ場所:自宅
ローランド第3弾はまたもローズバンクと予告しておきながらのキングスバーンズ。単にローズバンクを忘れていただけです。ただ、このキングスバーンズもかなり興味深いボトルであることは間違いありません。
ボトラーのウィームスが所有するキングスバーンズ蒸留所。基本的にはボトラーはないものと思われ、また、現時点でのリリースはそれほど多くないこともあって、中々評価を見ることはないように思います。ただ、個人的にはローランドの新興の蒸留所ということもあって、若干期待しています。(ローズバンクも「復活」するみたいですが、名前だけなのでこちらはあまり期待していません)
個人的にはウィームスというと加水の扱いがうまい(10年位前にはLMDWがそういわれていたような気もします)ことから、いろいろな飲み方で楽しめるものが出てくれば良いなぁ、と思ってはいましたが、これはなかなかの出来です。ちなみに、定番っぽい感じで出たDream to Dramは、試飲で飲んだ限りはいわゆる普通の加水だったので、そういう意味ではカスクストレングスのこのボトルで、多彩な飲み方を許容するものが出てきたのは中々驚きでした。2014年にできた新興の蒸留所なので、最長でも6年程度の原酒しか手持ちがなく、しかも、熟成に使用するシェリー樽の供給もおそらく足りていない現在の状況で、100%ワイン樽、しかもシングルカスクではなく、3000本のボトリングを、カスクストレングスでやる所は本当に興味深いところです。
筆者自身もキングスバーンズは数種類しか飲んでいないので、ハウススタイルも何も言えませんが、ローランドらしい、いい意味で特徴の少ない(樽の影響が出やすい)モルトだと思います。この100% STRはストレートでも、ロックでも、トワイスアップでも楽しめる、特に、加水で色々なフレーバーが出てくるので、5年程度の熟成年数のウイスキーに1万円出せるのであれば、買っておいてもよいウイスキーだと思います。
ちなみに、ハイボールにすると、バーボンをソーダ割にした時のように猛烈な泡が出るので、それでも大丈夫、という人にのみお勧めしますが、ミント的な爽快感が出て、これはこれで楽しめます。