作成日:2021/03/14
メーカ:スリーリバース
地域:イギリス、スコットランド、スペイサイド、ロングモーン蒸留所
ステータス:(限定品のため表記なし)
容量:700ml(写真は200ml)
価格:7000円くらい(200mlの価格、700mlは21000円くらいだったはず)
タイプ:シングルモルト、シングルカスク、カスクストレングス
年数:34年
度数:52.2度
点数:90点
テイスティング的なコメント:香りは熟した果実、ハチミツ、オレンジ、バナナ、ピーチ、黒鉛。口にすると、シロップ漬けのオレンジ、白桃、マンゴー。一口目はあっさり、二口目からずっしり。長熟だが、ありがちなドライフルーツのニュアンスはない力強さ。ネガティブな要素はなく、素晴らしいバランスのウイスキー。口を重ねるとナッツ。少量の加水でまろやかに。余韻はフルーツの溶け込んだシロップがほのかに長く続く。
飲んだ場所:自宅など
スコッチ文化研究所、現ウイスキー文化研究所向けのスリーリバースボトリングの超熟ロングモーンという、今あれば瞬殺されそうなボトルのレビューです。自分で振り返ってみても、点数が良くても88点止まりが多い中、久々に90点のボトルです。これについては美味しくない、という感想を見かけたことがなく、文句なしに美味しいボトルと言っていいかと思います。これを買った当時はまだ試飲会イベントにもよく行っていたので、結構思い出があります。今はウイスキー文化研究所というと、会員限定とか、検定合格者限定とかそういうものが多い印象ですが、当時は割と普通に、それなりの期間販売されていたと記憶しています。写真はウイスキーライブ(確か六本木だったころ)にスコッチ文化研究所のブースで購入したもの。ご覧いただければお分かりになるかと思いますが、日付とサインが入っています。最近はどうか分かりませんが、当時はご本人がいらっしゃると「(サイン)書いてやろうか」ってな具合で、(半強制的に)サイン入りのボトルになっておりました。個人的にブラッカダーのロビンと並ぶ強制っぷりであったと記憶しています。ラベルの二人のうち片方はニッカウヰスキー創業者の竹鶴政孝氏だったと思います(確か、ロングモーンで修業したはずなので)。
ロングモーンはゴードン&マクファイルのスタンダードなシリーズに代表される、シェリーニュアンスこってりの重厚な、それでいて、マッカラン、グレンファークラスなどとはまた別の主張を持つ、万人受けするタイプか、バーボン樽系で、度数高め、スペイサイド的な華やかさ&フルーツ感満載のタイプ、後は比較的年数が若い、そこそこドライでそこそこフルーツという感じのタイプの3種類が多いイメージですが、これは2番目で、バリバリにフルーツが効いた感じ。個人的にはスクリューキャップのころのG&Mのロングモーンや、蒸留所元詰めの15年とかが(味はともかく)こういうニュアンスだったと思います。
このボトル、味もいいし、70年代で2万円そこそこなので、高いとは言えなかったのですが、当時は70年代でも1万円台で買えるものがたくさんあったり、同じスリーリバースからリリースされていたライフシリーズのロングモーンが激ウマ(こちらは早々に完売)で値段も近かったこともあって、当たりの部類に入る割に、割と何時でも買える雰囲気を出してました。私が購入したウイスキーライブだけでなく、ウイスキーフェスティバルや、スコッチ文化研究所近くの西麻布の酒屋の試飲イベントでも売られていて、よく見かけたという印象があります。スリーリバースのボトルもあったし、G&Mのスタンダード品(25年、30年)とか、ケルティックラベルとかあって、ぶっちゃけ優先度は低かったですね。ただ、それらが無くなり、各種ウイスキーの値段が上がってきたタイミングでは「お買い得」なわけで、なくなるときは一瞬だったと思います。そう考えると、10年以上前の安い時代は、いいのが安かった半面、樽買いして抱えるのは大変なリスクがあったということですね。まあ、今は樽で買うという選択肢が取れるところはあまりありませんが…(日本の新興蒸留所や、投資商品としての購入を除く)
最近はあまりない(と勝手に思っている)のですが、当時は、割とハズレの樽に遭遇することがありました(蒸留所元詰め、ボトラーどちらも)。スコッチ文化研究所は、それほどハズレはないものの大当たりもあまりなかったので、このロングモーンもあまり注目されなかったのかもしれません。
最近の値上がりでもはや70年代程度でも気軽に飲んでみようとは思えなくなってきましたが、近いスペックのものがあったら飲んでみたいものです。