作成日:2018/10/16
蒸留所内、プレゼン&試飲会場。蒸留所でパワポのプレゼンは珍しいと思う。
地域:中東、イスラエル、テルアビブ
訪問時期:2017年3月
ステータス:稼働中(シングルモルトのリリースは2017年から)
Webサイト:https://mh-distillery.com/
見学:可、事前予約必要。見学は有料。予約しないと売店も入れないと思われる
言語:英語 or ヘブライ語
製造品目:ウイスキー、ジン、リキュール等
ここらで少しは特色のあるコンテンツを作っておこうかということで、蒸留所シリーズはいきなりイスラエルです。他はスコットランドと日本しか行ったことありませんので、これ以上インパクトのある蒸留所の紹介は当面できません。
ここは、イスラエル人のウイスキー愛好家がお金を出し合う&クラウドファンディングでスタートしたという中々珍しいタイプの蒸留所。
今だと日本でも似たようなことやってますが、ここは5年近く前にやっていたので、この点においてはかなりの先駆者と思われます。蒸留所の名称がぴんと来ない方は多いかと思いますが、聖書に出てくる約束の地、カナン(「乳と蜜の流れる場所」)に由来するかと思われます(蒸留所の説明にはなかった(聞き取れなかっただけかも)ですが)。昨年、稼働開始から3年ということで初のシングルモルトがリリースされ、オンラインオークション(転売じゃなく)でシリアルNo別に売られていましたが、ボトルNo.によって(若い番号orキリのいい番号)は2万円とか余裕で超えていたと思います。
この蒸留所の場所に行ったのは実は2回目で2回とも海外出張中の寄り道です(さすがにこのためだけにイスラエルには行かない)。普通はイスラエル観光といえばエルサレムとか死海とか行くんでしょうが、まあ、筆者のような人種の人間にとっては聖地は別だった、ということで。1回目はクラウドファンディングが成立した後くらいで、事前のメールを出しても返事はなく(正確には3か月後くらいに来た。同時期に問い合わせしたイスラエル人も同じような感じだったようなので、無視されてたわけではない、はず)、タクシーで住所の場所に行ってみるも、蒸留所の気配はなく。自分かタクシードライバーが間違えてないか確認しようにも英語を大して話せず、途方に暮れて帰るという体たらくでした(この時ほど英語をしゃべれればと思ったことはない)。
2回目に行ったときは稼働中で、事前のメールも通じました(出張前に事前に手配したわけではなく、出張中にホテル(テルアビブの海岸沿い)の近くに蒸留所があることに気が付いて慌てて手配したのですが)。最初は希望日はヘブライ語のツアーしかないと返信が来ましたが、それだと何が何だかわからないというオチになってしまうので、そこを何とか、と言ったら英語のツアーをやってくれることになりました。んで、ホテルからgoogleマップを頼りに歩くも、全然見当たらない。看板等は何もなく、一回通り過ぎてしまうほど。
mapで見直して、あれ、通り過ぎてるんじゃ?と戻ったら入り口のドアが開いていて、内側の方にロゴとかが付いているという。分かるか!町のど真ん中の工場みたいなところのしかもほぼ完全屋内の施設なので、全然わかりません。でもその入り口には見覚えがあって、1回目も、たどり着くには着いていたことが確認できました。まあ、あまりうれしくはないですが。
中に入ったらドイツ人っぽいおじさんと女性がいて、女性が全員揃ったから始めるぞと。私(と一緒に出張していた3人)+ドイツ人っぽいおじさんの5人の見学が始まりました。
まず、最初はスタッフのプレゼン。蒸留所の成り立ち、イスラエルのアルコールの流行(ワインー→ビール→ウイスキー(期待、今ここ)ってことでした)、ウイスキーの定義、製造工程、Milk & Honeyでの取り組みなど。所々でこっちに質問が飛んでくる形式なので、軽い英会話教室です。それが終わると、蒸留所ツアー。工場の中を回ります(とはいっても町工場のサイズなので狭いです)。
ウイスキーの製造工程の最初は、といえば、このサイトを見ているような人はまず間違えることはなくて、「製麦」と答えるかと思います。はい、間違いですね。少なくともここでは間違いです。Milk & Honeyでは水の精製が最初の工程です。そう、川なんかないんですよ。ってか、水がない、この国は。でも実は農業的には大変進んでいる国らしく、食料自給率は高く、野菜もものすごくたくさん作られているようです。
とはいっても、ウイスキーの材料の大部分は水が占めているので、ここでは水の精製プラント的なものでまず水を用意すると。水のタイプもある程度は調整できるという話でした。
水の精製装置。なぜかここだけ半屋外だった。
ここはどこの蒸留所でも(どこの機械を使っているかは別として)多分同じ工程。麦芽はスコットランドから輸入(安いから)だそうです。まあ、ここは日本でも基本的には同じなので、そんなもんかなって感じでした。
ただ、立ち上げ当初はここで粉砕した麦芽を次の工程に持っていくコンベアとかがなくて、袋に詰めて人が運んだらしい。
その後の工程は基本的に同じなので省略します。下は撮った写真。マッシュタンはステンレスでイスラエル製。ワイン向けにこういう装置作っている業者があって、そこに作らせたらしい。ポットスチルは2器で初溜、再溜用にそれぞれ1器。作ったんじゃなくて、中古を買ったとか。再溜はブランデー用のポットスチルで、初溜より大きいという。何と連続式蒸留器もあったので使ってるのか聞いてみたら、今のところはとりあえず置いてあるだけとのこと。
マッシュタン、確かステンレス製
初溜用のポットスチル
再溜用のポットスチル
連続式蒸留器
最近の蒸留所らしく、ジンも作っている。構内の端っこの方にアランビックがあって、これで作っているとのこと。そんなに大きくないので、大量には作れないっぽい。ちなみにこの間にも案内の女性からちょいちょい質問が飛んできます。アルコールの沸点は英語云々じゃなく、普通に間違えました。ちなみに、構内に貯蔵施設もあって、ほぼ満杯でした。イスラエルは4つの気候帯に属しているので、国内の色んな個所に貯蔵施設を作ると言っていました。
最初のプレゼンの場所に戻ってきて、試飲タイム。ニューメイクと8か月熟成品、ジンを飲ませてもらいました。
どれも普通においしかったです。で、最後にお土産タイム。8か月熟成3本、ニューメイク2本、ジン1本、+Tシャツなどを買い、同行者をドン引きさせることも忘れません(ちなみにそのあと、この荷物を持って観光したので結構しんどかった)。シャツは日本円で1500円とやたら安かったのですが、Sサイズしか在庫がなく、あきらめて1枚だけ購入(一応入りましたが、いつ破けるかわからないのであまり着ていません)。
個別のレビューはいずれまた。
そういえば、見学の時のパワポはもらえるのかなー、と一応後でメールで問い合わせてみたところ、何か月か経ってから貰えました。これも無視していたわけじゃなくてメールトラブルとか何とか。内容は英語でしたが、ファイル名はヘブライ語で読めませんでした。
また、イスラエル出張中に出張先の人間と話をするわけですが、世間話だと大体は「休みはどこ行くの」って話で、毎回ここの話をすることになって、「蒸留所?そんなのあるの?」って感じになりました。結構お酒を飲む人でも知らなかったので、やっぱウイスキー(正確には小さい蒸留所)ってマイナーなんだなぁと思いました。