作成日:2019/8/13
メーカ:Vintage Malt Whisky
地域:イギリス、スコットランド、スペイサイド
ステータス:(限定品のため明記せず)
容量:700ml
価格:8000円くらい
タイプ:シングルモルト、シングルカスク、カスクストレングス
年数:14年
度数:57.4度
点数:70点
テイスティング的なコメント:開栓直後は上質なシェリーカスクのモートラック。ただし、翌日から酸化由来と思われる劣化が始まり、 みるみるうちに硫黄、焦げた木のニュアンスが前面に出てくる。ロック、ハイボール、水割り、コーラ割など試してみるも全くネガティブな印象は消えず、開栓直後は美味しいというのが幻覚(現実逃避)かと思ってしまうほど。
飲んだ場所:自宅、屋外など
ウイスキーについて話していて良く話題に出るのが瓶熟、という話。ウイスキー自体は蒸留酒なので、日本酒、ビール、ワインのような醸造酒(発酵のもととなるものが残っていて、瓶詰後も熟成が進む場合もある)とは異なり、瓶詰めされた状態で発酵を促すものがなく(工程に間違いがなければ)、瓶熟は基本的にありません。あるとすれば酸化で、開栓後、空気に触れることで品質が変化するということになるかと思います。あとは保存環境などにより、アルコール分の蒸発が進むことによって出てくる影響(多分、アルコール度数が下がることで、酸化の影響が出やすいということなのだと思います。だから、オールドボトルを買う際には液面の高さを気にするのだと思います)や、コルクやプラスチック、金属の蓋の味が移ってしまうとか、そんな感じかと思います。
ただ、ウイスキーを飲む大勢の方は、開栓後、長く置いた方が味がこなれてきておいしい、みたいな印象を持たれているかと思います。
基本的には2パターンあって、
最初、いわゆる硬いウイスキーで、時間がたつと飲みやすくなる、別の香味が出てくる(度数の高いウイスキーに多い)
最初から美味しい、あるいは不味くてどんどんうまくなってくる
という傾向なんだと思っています。
例えば、グレンキースの10年は最後のワンフィンガー(液面が2センチていど)になってからがうまいとか、クライヌリッシュのディスティラリーリザーブは最初美味しいけど、ボトルの肩を切ってからは美味しくなくなっていく、とか(リリースによります)。
ただ、基本的にはどちらも同じ参加という現象なのだと思います。シングルカスクだと、いい方に働く可能性がある、程度のものだと思います。オールドのブレンデッドを飲むと遭遇するひねた味も参加によるものだと思います。こちらは、色々な原酒を混ぜているからか、似たような味に収束しているように思います(筆者は良くオールド臭がする、と表現しますが)。
このモートラックは、しょっぱなの数日だけがうまいという、日本酒の生酒のようなウイスキーで、それ以降はひたすら味は悪くなっていきました。「たまたまそのボトルだけ外れだったんじゃ」という指摘もあるかもしれません。ただ、残念なことに2本買って(今は全部なくなりました)、同じ傾向でしたので、多分似たようなものだと思います。2本目は最初の数日頑張ってみましたが、度数が高いこともあり、無駄な努力でした。このボトル以降は味の経年変化をすごく気にするようになりました。
結構不思議なんですが、このボトル、もう市場では見かけません。あるイベントに持っていって飲んでもらったところ、全員が「まずい」と断言するようなものなのに…
ただ、まあ、もう一度出会ったときに、お金払って飲むかと聞かれれば、正直飲まないと思います。2本目も残り200mlくらいのものをあるバーにネタ用としてお譲りしましたが、多分まだ残っていることでしょう。
このボトルを買ったのは10年近く前ですが、当時は微妙なスペック(年数、度数のわりに安い)の物を買うと結構こういう痛い目にあった気がします。最近は良くも悪くも、こういう得体のしれないものは無くなってきた印象です。まあ、買って家で飲むことを考えると中々出会いたくないタイプのボトルではありますが。
こういう系統のアイテムも思い出したものは記事にしようと思います。