作成日:2020/08/31
父の日用のボトル、というていで販売されている模様。ラベルに名前を書く欄があり、パートナーや子供の名前が入るのではないかと思われる(自分で買っているので関係なし)
メーカ:蒸留所元詰め
地域:イスラエル、テルアビブ、ミルク&ハニー蒸留所
ステータス:(限定品のため明記せず)
容量:700ml
価格:約10000円(送料、税金等込み、英国からの輸入)
タイプ:シングルモルト、シングルカスク、STR
年数:3年
度数:55度
点数:87点
テイスティング的なコメント:香りは樽の焦げ臭さ、赤ワイン、カスタード、レザー。アルコールのアタックは強い。おがくず?口にすると、赤ワイン、暖炉の暖かさ。かすかなタンニンの渋み。舌にざらっとした感じが残る。口を重ねると甘みが前面に出てくる。全体的に赤ワインの印象だが、バーボン樽のニュアンスも感じる。香りで感じたほどはアルコールを感じない。少量の加水で力強さを残したまま飲みやすくなる。さらに加水するとえぐみが出てくる。余韻はレザーと赤ワイン、喉に焼け付く感じはあるが、悪印象ではない。むしろ3年熟成のウイスキーとは思えない余韻の長さ。
飲んだ場所:自宅
バルヴェニーの10年(もう終売になって久しいが)からハチミツを引いてレザーを弱めたような印象。
イスラエルの町の中にある、町工場みたいな外見の、金持ちの道楽で始めたようにも思える、Milk & Honey蒸留所の父の日向け、というそんなにない(世の中でお父さんにお酒を飲んでほしい配偶者や子供はあまり多くない)用途のボトル。筆者にとっては子供が生まれる前、約5年前に見学に行った蒸留所です。(正確には、訪問中に子供ができたことを知った)カヴァランをプロデュースしたジム・スワンが関わっているというこの蒸留所、だからなのかどうかは分かりませんが、ここもSTRを熟成に使用したシングルカスクをリリースしてきました。(他にはカヴァラン、キルホーマン、キングスバーンズあたりがやっている)
正直、3年のシングルカスクとしては高いのですが、最近の相場はこんなものなので、今まで個人的に好きなウイスキーを出しているMilk & Honeyに期待、ということで購入。直前にキングスバーンズのSTRを開栓しているのでいい比較対象ではあると思います。
年数的にはほぼ同じ、シングルカスク、ブレンデッドという違いはありますが、少ない年数でも赤ワインのニュアンスはどちらも強く出ていました。ボトリング度数の違いからか、こちらは加水後の変化はあまりなく、加水量を増やすと若干欠点が目立ち、向こうは加水で良くなるものの、そのままではかなりきつい印象で、中々対照的なボトルでした。
個人的にはバーボン樽っぽい味がするものの方が好きなので、こちらの方が点を多めにしましたが、どちらも3年熟成のウイスキーとしては上出来な部類に入ると思います。特にこちらは余韻の長さが3年とは思えないものになっていて、ブラインドで飲んだらさっぱりわからない(でも赤ワインっぽい渋みがあるので、そこから何となく想像はつくかも)とも思います。
少ないサンプル数しか試していませんが、需要が多く、供給が追い付かない現在の状況においてはSTRはかつてのシェリー系のテイストを求める人の需要をある程度、手っ取り早く満たすソリューションなのかもしれません。(シェリーカスクとは明確に味は違いますが、バーボン樽よりは確実にシェリーカスクに近い)
それはそれとして、STR熟成のウイスキーを飲んでしまうと、次のウイスキーの味が分かりにくくなると改めて思いました。キングスバーンズの直後にローズバンクを飲んで味が全く分からなくなってしまいましたが、今回も直後に飲んだストラスアイラのシェリーバットも、旨い、不味いは分かるものの、細かい味はさっぱりという状態になり、バーで飲む際には順番は考えた方が良いかもしれません(後半に持って行った方が良いという意味)。