作成日:2020/9/6
今のダンカンテイラーのDimentionシリーズに相当する。このシリーズの高額品にPeerless記載のあったものがあったからか、このシリーズを「ピアレス」と呼ぶ人も多い。
メーカ:Duncan Taylor
地域:イギリス、スコットランド、スペイサイド、インペリアル蒸留所
ステータス:限定品のため明記なし
容量:700ml
価格:8000円くらい
タイプ:シングルモルト, シングルカスク, カスクストレングス
年数:19年
度数:53.4度
点数:88点
テイスティング的なコメント:香りは、洋梨、リンゴ、ナッツ。若干のおがくず。スペイサイド的な華やかさ(グレンフィディック、ストラスアイラの12年的な)。後からアルコールの力強さ。口にするとアップルタイザー、とにかく炭酸。その後に広がるナッツ、オイル。二口目以降は洋梨、オークも出てくる。加水するとアルコールが後に回るが、全体のバランスは大きく変わらない。余韻は舌の上にナッツのオイルが薄く広がるがそれほど長くはなく、ふと気が付くと消えている。
飲んだ場所:自宅
ウイスキー(シングルモルト)を本格的に飲みだした頃に購入したボトルで、最近開栓。購入時期では最古の部類に属します。インペリアル蒸留所は購入した当時すでに閉鎖蒸留所だったわけですが、それほど人気があったわけでもなく、比較的安く売られていた印象があります。日本人は閉鎖蒸留所とか限定品とかに弱いのでとにかく買ってしまうのかもしれませんが、閉鎖にはそれなりの理由があって、インペリアルは当時から微妙な印象を持っている蒸留所です。1回のバッチの量が大きく、大量に(大味な)ものを作るという印象を持っていました。個人的には名前負け感が強くて、まあ、それらの多くはシングルモルトとして流通するわけではないはずなので、シングルカスクには影響ないのだとは思いますが。とか書いていたら、あんまり美味しくなかったインペリアルを2つほど思い出したので、別途記事にしようかと思います。
タイトルの話に戻ると、テイスティングのコメントにも書いた通り、スペイサイドモルトの説明によく出てくる「華やか」がよく合うモルトという印象を持ちました。また、「華やかな」リンゴ系でありつつも、強烈なプチプチ(上では炭酸と書いてますが、アルコール由来と思われます)があって、印象はまさしくアップルタイザー(リンゴジュースの炭酸飲料)。アップルタイザーやストロングボウなどのシードルをチェイサーにして飲んでみたくなりました。点数は88点にしていますが、実はかなり悩みました。なんでかというと、あまり複雑さを感じなかったから。美味しいには美味しいが、決定的なものを感じない。ただ、リファレンスとしてよくできていると感じた(入手性の問題はありますが、アベラワーのアブーナ、グレンリベットのナデューラと並んで、薦められる)こと、特に欠点を感じなかったことから今回はこの点数にしました。
家のボトルの開栓はつい最近ですが、このボトル自体は試飲や、バー飲みで何回か飲んでいます。で、それに基づいてWhiskybaseでは点数を入れていて、見てみると...85点。悪くはないが、今回とだいぶ差分があるという。これは個人的なことなので、読者からすると非常どうでもいいことなのですが、実は、筆者はこのサイトに載せている点数とWhiskybaseに載せている点数は後から比較してみると不思議なことに乖離がほとんどないのでかなり意外な結果でした。ただ、このボトルの発売当時のことはよく覚えているので、それを思い返してみると、そんなに意外でもないという。
このボトルがリリースされていた時代(2009~2010年)は同じボトラーのカスク番号違いのリリースが結構まとめてあって(インペリアル、グレングラント、グレンマレイ、ローズバンク、ボウモア、など)、「何とか系の味」みたいな触れ込みで売られていることが多かったです。特にこの時代は1993ボウモア、南国、マンゴーとかそういう触れ込みが多くて、このインペリアルも南国とか何とか書かれていました。確かにこのボトルと1つか2つ違いのカスクナンバーのボトル(448か447)はそういうニュアンスがあって、「おお!」と思ったのですが、それより後にこれを飲んでいるので、まあ、うまいことは旨いんだけど、そんな味はしないだろ!っていう意味で減点していたのではないかと思います。
ただ、売る方にも色々事情はありますし、こちらが全ての味を感じられているわけでもないので、だれが悪いというわけではないとも思います。ただ、これとかBBRのボウモアとかやたら南国アピールしてくるものを鵜呑みにしてはいけないということはこのボトルで学んだ気がします。