作成日:2018/10/23
見学コース途中の蒸留器、自動アナウンスの説明の音量が大きい
焼酎が主力のメーカー、本坊酒造の蒸留所。岩井喜一郎氏(竹鶴政孝氏の最初の会社の上司)がウイスキー作りにかかわったメーカーで、最初は山梨で、次に鹿児島(これらは閉鎖)、その後ここ信州に工場を作るも、不況により数年間で稼働をやめ、最近再稼働、そしてまた九州に工場を新設、という、シングルモルトの工場だけなら一番国内で実績があるんじゃないかと思われるメーカーです。
実は筆者の前職の会社の工場がこの信州蒸留所の道路挟んで反対側にあり、昔から気になっていたのですが、結局訪問したのは会社を辞めてからでした。そういうわけでたどり着いた時には別の意味で結構感動しましたが、向かいの工場は規模が小さいとはいえ半導体やってるんだよなぁ、水とか大丈夫なのかなぁと心配にならないでもありません(注:半導体工場の跡地などは結構土壌汚染で問題になる)。
見学コースは順路に従ってどんどん歩いていくスタイルで、試飲は別のブースでお金を払って好きに飲むという感じです。しかもどっちかというと地ビールを前面に押し出していて、他のお客さんもほとんどがビール飲んでました。今はそんなこともないのかもしれませんが。
比較的最近再稼働した蒸留所ではあるが、説明書きは結構古めかしい。
どうしても興味のあることを聞かずにはいられない性分で、質問してしまいます。ここでも聞いてしまいました。質問内容は「駒ヶ岳10年はジャパニーズ以外も使っているという理解で正しいですか」です。ちなみに、駒ヶ岳10年自体はどちらかというと好きなウイスキーで、だから品質がどうとか、そういうことを言いたかった訳ではないのです。上にも書いたように信州蒸留所は訪問当時、再稼働からやっと3年たって、「リバイバル」と銘打った3年物が出てきたところだったのです。それ以前の在庫は稼働停止前の1980年代の原酒のみ。すなわち、マルスウイスキーのみで構成されているのであれば10年、と銘打つことに意味はあまりないということになります。また、それに加えて、値段も4000円くらいとお手ごろで、いくら、マルスがニッカ、サントリーと関係があったとしても、そこから原酒を入手しているとは到底思えない金額なわけです。また、竹鶴の時と同じですが、これもピュアモルトウイスキーと銘打っているだけで、ジャパニーズの表記はなし。ということで答え合わせの質問です。回答は即答でイエスでした。
日本のメーカーがピュアモルトと称してスコットランドの原酒(ここは確認していませんが、原価的には多分スコットランドだと思います)を使用してウイスキーを作ることを批判しているものではありません。むしろ国産であるがゆえに味に関係なく高い方が悲惨だと思っています。また、ブレンドの技術を企業として保有しているのはむしろ素晴らしいことだと思います。ウイスキーの大半はブレンデッドウイスキーなので。本坊酒造の場合は焼酎という本業があって、こちらでブレンダーを抱えていることもあり、特にブレンデッドウイスキーの味は良いと感じています。多分、ブレンドの技術が蓄積されているのは他にはサントリー、ニッカ、キリン、ベンチャーウイスキー(秩父蒸留所)くらいなのではないかと思います。(笹の川酒造、若鶴酒造もやっているとは思いますが、あくまで本業ではない印象があります)
それらの中でも(あくまで個人のイメージではありますが)制約条件の多い中、うまくブレンドして製品をリリースしている印象があります。
蒸留所併設のショップはいわゆる土産物屋の雰囲気が強いです。限定品等は特になかったと記憶しています。
全然関係ないですけど、駒ヶ根駅の近くにはそこそこ酒屋さんがあって、グレンエルギンのホワイトホースラベルやジョニーウォーカー赤の1990年代ボトリング、シーバスリーガルの1990年代ボトリングの2リッター瓶、スーパーニッカの旧瓶のハーフボトルなんかがあって、帰りの荷物は結構重かったです。